企業の総務担当者や個人事業主の方で、初めてテープ起こしやリライトを検討される方へ。
会議やインタビュー、講演会の音声を文字化する際、「リライト」という言葉を耳にしたことはありませんか?
「ケバ取りとは何が違うの?」「自分たちでもできる?」「プロに依頼したら費用はいくら?」
このガイドでは、テープ起こしのリライトについて、初心者向けにわかりやすく解説します。
目次
テープ起こしのリライトとは?基本定義
1. リライトの正確な定義
テープ起こしにおける「リライト(書き直し)」とは、文字に起こした音声テキストを、読みやすく、より専門的な形に修正・編集する作業を指します。
リライトは、文字起こしプロセスの「最終段階」に位置し、以下の要素を調整します:
- 「話し言葉」を「書き言葉」に変換(例:「だからさ」→「そのため」)
- 「あー」「えっと」など意味のない言葉(フィラーワード)の削除
- 重複表現や冗長な表現の削減
- 専門用語の統一と表記ゆれの修正
- 文末表現の統一(「です・ます調」の統一など)
- 論理的な順序の整理(前後する会話を時系列に)
リライトを行うことで、会議の議事録や外部への報告資料として、読み手にとって分かりやすく、信頼性の高い文書に仕上げることができます。
2. リライトと「ケバ取り」の違い
テープ起こしの業界では、しばしば「ケバ取り」と「リライト」という2つの概念が混同されます。
業界の参考資料によると、多くの専門業者では以下のように分類しています:
| 項目 | ケバ取り | リライト(整文) |
|---|---|---|
| 作業内容 | 「あー」「えっと」など不要な言葉を削除 | ケバ取り+文体・文構の整理・修正 |
| 文体の修正 | なし(話し言葉のまま) | あり(書き言葉に変換) |
| 作業時間 | 短い | 長い |
| 費用 | 安い | 高い |
| 用途例 | 社内会議、日常的な記録 | 外部報告書、学会発表、公式記録 |
| 完成度 | 中程度 | 高い |
要点: 「ケバ取り」は主に削除作業、「リライト」は削除+修正・編集作業と考えることが分かりやすいです。
リライトが必要な3つのケース
3. リライトを依頼すべき使用場面
ケース① 外部ステークホルダーへの提出資料
対象: クライアント企業へのプレゼン資料、営業会議の上司報告、取締役会の議事録など
理由:
- 「えっと」「あー」が残っていると、専門性・信頼性が低く見える
- 論理的な構成でないと、意図が正確に伝わらない
- 誤解を避けるため、正確な日本語表現が必須
例:
【修正前(ケバ取りのみ)】 「マーケティングの予算ですが、5月から変わってくるというか、営業とも相談して決めようと思ってます。」 【リライト後】 「マーケティング予算につきましては、5月以降の変更を予定しており、営業部門と協議した上で決定いたします。」
ケース② 学術研究・論文、学会発表
対象: 論文に引用するインタビュー、学会での発表スライド、研究論文の参考資料
理由:
- 学術的な正確性が必須
- 引用・参考資料として外部からも検証対象になる
- 分野に応じた専門用語の統一が重要
ケース③ 長期保存・正式な記録書類
対象: 企業内の公式会議記録、弁護士依頼の訴訟関連記録、個人情報を含む重要文書
理由:
- 後年、見返しても正確性が担保される必要性
- 法的証拠として使用される可能性
- 組織としての信頼性を示す必要性
テープ起こしの全工程と作業時間
4. リライトを含むテープ起こしの全流れ
テープ起こしは、通常、以下の段階を踏みます。理解しておくことで、「自社対応か代行か」の判断がしやすくなります。
段階1:素起こし(そおきこし)
- 定義:音声をそのまま、一言一句文字に起こす
- 作業内容:「あー」「えっと」も含めてすべて記載
- 時間目安(1時間の音声):初心者で4~6時間
段階2:ケバ取り
- 定義:不要な言葉(「あー」など)を削除
- 作業内容:読みやすさを向上させる
- 時間目安(上記から):初心者で1~2時間
段階3:リライト(整文)
- 定義:全体の文体・論理を整え、最終形態に完成させる
- 作業内容:文末統一、重複削除、文構修正など
- 時間目安(上記から):初心者で2~4時間
段階4:納品
- 最終チェック&データ形式変換後、クライアント納品
全体のタイムスケジュール例
1時間の音声で、初心者が全段階を行う場合:
素起こし 5時間 ↓ ケバ取り 1.5時間 ↓ リライト 3時間 ↓ 最終チェック 0.5時間 ━━━━━━━━ 合計 10時間
実感: 「たった1時間の会議なのに、10時間も?」と驚く方も多いはず。これが、プロへの依頼が合理的である大きな理由です。
自社でリライトする際の5つの手順
5. リライト作業の実践的な流れ
手順1:素起こしテキストの全体読み込み
リライト前に、起こしたテキスト全体を一度、声に出して読むか、黙読します。
重要: スピーカーの意図を理解し、どこが強調部分か、どこが余談か判断すること。
手順2:用語の統一
同じ意味を示す複数の表現を、1つに統一します。
例:
修正前:「AI技術」「人工知能」「AI」「機械学習」(全部混在) 修正後:「AI(人工知能)」に統一
手順3:文体の統一
ビジネス文体の統一ルール:
- 敬語:「です・ます調」か「である調」か統一
- 句点:「。」の位置を統一
- 段落:話題が変わるごとに段落分け
悪い例: 「営業成績が上がったことは、とても良いことです。しかしながら、コスト削減も重要である。」(文体混在)
良い例: 「営業成績が上がったことは、とても良いことです。しかしながら、コスト削減も重要です。」
手順4:話し言葉から書き言葉への変換
テープ起こしの専門家による指摘では、以下の変換が一般的です:
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| ~だから | ~のため |
| ~じゃん | ~である |
| ~ってか | ~とは |
| ~って感じで | ~のような形で |
| でも | しかし、ただし |
| まあ、ちょっと | やや、多少 |
手順5:見直しと最終チェック
修正後、以下の項目を必ずチェックします:
- ☐ 元の音声の意図が損なわれていないか
- ☐ 同じ意味を繰り返していないか
- ☐ 専門用語のスペルは正確か
- ☐ 句点・読点のバランスは適切か
- ☐ 敬語や文体に統一性があるか
- ☐ 段落分けは論理的か
経営判断: 費用がほぼ同等なら、本業に30時間を取り戻せる代行の方が、経営効率が高いといえます。
よくある失敗と対策
6. リライト作業の落とし穴
失敗① リライトで元の意図を変えてしまう
失敗例:
スピーカー:「まあ、導入するのは難しいかもしれないですね。でも、試してみる価値はあります。」 ❌ 誤ったリライト:「導入は困難であり、試行する価値はない。」 (肯定的な後半が削除されてしまった) ✅ 正しいリライト:「導入には課題がありますが、試行する価値があります。」
対策: リライト前にスピーカーの全体的な意図を確認すること。
失敗② 文が短くならず、むしろ長くなる
対策: 文を短く、無駄を削減する意識を持つ。一文の文字数は40~60字を目安に。
失敗③ 敬語レベルの混在
失敗例: 「この施策は非常に効果的です。しかし、コスト削減も重要である。」
対策: ドキュメント開始時に「敬語スタイル決定」を行う。
プロへの依頼方法と指示のコツ
7. リライト込みで依頼する際の発注ポイント
プロ(文字起こし代行業者)へリライト込みで依頼する際、以下の情報を明確に伝えることが、完成度の高い納品につながります:
発注時に伝えるべき情報
- 納期の明示:「〇月△日までに必要」と明確に
- 用途の説明:「外部提出か社内用か」「何人の聴き手か」
- 文体・敬語レベル:「〇〇企業への報告なので丁寧に」など
- 専門用語への対応:「医療用語が出ます」などの事前告知
- 修正対応について:「納品後、修正できますか」「何回まで無料か」
業者から見た「優良顧客」の特徴
プロ側も、以下のような発注者を高く評価します:
- ✅ 用途が明確に伝えられている
- ✅ 納期に余裕がある(リライトは時間を要するため)
- ✅ 修正の指示が具体的
- ✅ セキュリティ面での配慮がある
まとめ
リライト依頼を検討している方へ
テープ起こしのリライト(書き直し・修正)は、単なる「コスト」ではなく、以下の観点から「投資」です:
- ✅ 品質向上への投資 → 外部提出資料の信頼度UP
- ✅ 時間確保への投資 → 本業に10時間を取り戻せる
- ✅ リスク軽減への投資 → 誤解・記録不備を防止
判断基準:
- 月1~2件程度: 自社対応も可能
- 月3件以上、または外部提出資料: プロへの依頼が圧倒的におすすめ