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目次
1. 逐語録(ちくごろく)とは?基本の定義と活用分野
「逐語録」とは、話された言葉を一言一句、文字通りに書き起こした記録のことです。
会議やインタビュー、講演などの音声データにおいて、話の「内容」だけでなく、話者の発言の順序、言い間違い、ためらい、口癖、相槌(あいづち)といった、すべての非言語的な要素や話し方の特徴までも忠実に再現することが特徴です。
逐語録が求められる主な場面
具体的に、逐語録の作成は、特に「質的な情報」が重要となる以下のような分野で不可欠です。
- 質的研究:社会学、心理学、教育学、看護学などの分野における詳細なインタビュー記録やフィールドワークのデータとして、発言の真意や背景を深く分析するために使用されます。
- 裁判・法律分野:法廷での証言や警察の供述調書など、正確性が極めて重要視される場面で、証言内容を厳密に把握するために作成されます。
- ビジネス:顧客との詳細なヒアリング記録、製品開発のためのユーザビリティテストの記録など、発言のニュアンスから潜在的なニーズを汲み取るために活用されます。
- 医療・福祉:患者やクライエントとのカウンセリング記録など、言葉の選択や言い回しから心の状態を分析する上で重要な資料となります。
2. 逐語録と混同しやすい用語との違い
「逐語録」は単に音声データを文字にするだけでなく、さらにその目的と再現度において、他の記録方法と明確に区別されます。
2-1. 議事録との違いは?
見込み客からの検索疑問で最も多いのが、この「議事録と逐語録の違い」に関するものです。
| 比較項目 | 逐語録 (Tape Transcription) | 議事録 (Meeting Minutes) |
| 主な目的 | 発言の全てを記録し、質的な分析に役立てる。 | 会議の決定事項、結論、要点を記録し、情報共有と行動管理に役立てる。 |
| 再現度 | 一言一句そのまま、言い間違いや相槌も含む。(ケバ取りをしないのが基本) | 話の流れを整理し、適切な言葉に修正してまとめる。(ケバ取りが必須) |
要するに、議事録は「何を決めたか」に焦点を当て、一方で逐語録は「何を話したか、どう話したか」に焦点を当てます。したがって、分析や研究目的であれば逐語録が、会議後の共有や決定事項の確認目的であれば議事録が適しています。
2-2. 逐語訳とは?
「逐語訳(ちくごやく)とは」、ある言語のテキストや発言を、単語やフレーズごとに文字通り、他の言語に置き換える翻訳方法を指します。
- 逐語訳: 「言語」間の置き換え。すなわち、意味の整合性よりも単語の対応を重視します。
- 逐語録: 「音声」を「文字」に置き換える記録。それに対して、発言の忠実な再現を重視します。
3. 逐語録の作成方法と「逐語記録とは」

「逐語記録とは」、音声データを文字に書き起こす作業と、この結果得られた記録そのものを指します。さらに、専門的な分野では、特定のルールに基づいた表記が求められます。
3-1. 逐語録作成のステップ
まず、以下のステップで進めます。
- 録音データの準備: ノイズが少なく、明瞭に話されている高品質なデータを用意します。
- 素起こし(完全な逐語録): 一言一句、文字通りに書き起こします。なぜなら、この段階で後の分析に影響を与えるため、一切の修正を加えません。
- 発言者の特定とタイムスタンプ: 誰が、いつ発言したのか(話者分離)を明確にします。研究目的では、分析の効率を上げるためにタイムスタンプを挿入します。
- 編集・記号付与(研究の場合): 研究目的に応じて、たとえば非言語的要素(笑い、咳、沈黙、声のトーンの変化など)を示す特殊な記号を付与します。
3-2. 逐語録作成における注意点:言い間違いの取り扱い
「逐語録で言い間違いがあった場合どうする」かという疑問は、逐語録の目的と忠実性に関わる極めて重要なポイントです。
逐語録の目的は「発言の忠実な再現」にあるため、たとえ言い間違いや文法の誤りがあったとしても、原則としてそのままの言葉で記録します。なぜなら、話し手がどのような状況で、なぜその間違いをしたのかという点自体が、質的な分析の重要な対象となるからです。したがって、これを修正してしまうと、データとしての価値を損なってしまいます。
4. 逐語録を活かす分析方法:質的分析とカテゴリ化
逐語録の最終的な目的は、そこに記録されたデータから深く分析し、知見を得ることにあります。特に「質的データ分析」において、逐語録は最も重要な一次資料となります。
4-1. 質的研究分析方法:逐語録のコーディングとカテゴリ化
「質的研究 分析方法 カテゴリー化」は、すなわち、膨大な量の逐語録データから意味のあるパターンや構造を見つけ出すための核心的なプロセスです。
- 熟読: 作成された逐語録を何度も読み返し、全体像とニュアンスを把握します。
- コーディング(符号化): 次に、発言の区切り(文やフレーズ)ごとに、その内容を最もよく表す短いキーワード(コード)を付与します。
- 例:「ストレスを感じる」という発言に → コード:「職場環境への不満」
- カテゴリ化: さらに、関連性の高いコードをまとめ、抽象度の高い概念(カテゴリ)へと分類します。その結果、データが構造化され、分析の視点が明確になります。
- 概念の形成: 最終的に、カテゴリ間の関連性や因果関係を考察し、研究の結論となる概念や理論を導き出します。
4-2. インタビューレポートの書き方と逐語録の活用
「インタビュー レポート 書き方」においても、逐語録は結論の裏付けとして不可欠です。
インタビューレポートは、すなわち、逐語録(一次データ)をもとに、分析・カテゴリ化を経て得られた結論や洞察(二次データ)をまとめるものです。
- レポート構成: 例えば、はじめに(目的)、方法(インタビュー概要)、結果(カテゴリと分析結果)、考察(結論と提言)といった構成が一般的です。
- 逐語録の引用: レポート内では、分析結果の説得力を高めるために、カテゴリや結論を裏付ける具体的な逐語録の一部分(生の声)を引用します。
5. 逐語録の作成は専門家への依頼が鍵
逐語録は、そのため、その忠実な再現性と分析における重要性から、非常に高い集中力と専門知識を要する作業です。
加えて、特に質的研究や法律分野では、わずかな聞き間違いや解釈の誤りが、結果的に分析結果や証拠の信頼性を大きく左右します。
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